宮城県石巻市にある猫島「田代島」想像していた「理想」と目で見た「現実」

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田代島とは

宮城県石巻市にある小さな島。

周囲約11キロメートルの島には、130匹以上のネコが暮らしている。

島民の数より猫の数が多い事から「猫島」とも呼ばれ多くの猫好きが訪れる島としても有名だ。

そして私も自宅に猫を3匹飼っており猫好きの1人。

ついに念願の田代島にやっと行く事になったのだが…

猫島の始まり

そもそもどうして猫島になったのか?

猫が増えた理由を調べると江戸時代までさかのぼる事に。

江戸時代、田代島では養蚕業が盛んに行われていた。

養蚕とはカイコを飼いその繭から生糸を作る産業の事だ。

養蚕にはネズミが天敵

ネズミはカイコの卵、幼虫、繭の中のサナギ全て食べてしまうらしい。

そのネズミ除けとして猫が重宝されたのが猫島の始まりだと言われている。

いざ「猫島」へ

石巻から田代島へはフェリーを使う。

網地島ライン(フェリー乗り場)の基本情報
店名 網地島ライン(フェリー乗り場)
住所 宮城県石巻市門脇町3丁目1
電話番号  02253-93-6125
営業時間 8:00~17:00
定休日 なし
URL http://ajishimaline.com/

地図

フェリーには沢山の人達が乗っていた。

フェリー乗り場の駐車場に車を停め。チケット売り場で乗船券を購入後、乗船場からフェリーに乗り込む。

釣り人もちらほら乗っていたが、大半はカップルやファミリーがほとんどだ。

ちょめちゃん
ちょめちゃん

きっと猫達が島の人たちと、のんびり楽しく暮らしてるんだろうなぁ

あー早く触りたい!早く沢山の猫に囲まれたい!遊びたい!

猫好きな私はとてもワクワクしていた。

出発から約40分で田代島到着。

フェリーが停まる港は大拍港と二斗田港の2ヶ所。

二斗田港はネコスポットらしく人が多く降りるらしい。

私は人混みが嫌いなため大拍港で降りる事に。

猫島散策

大拍港でフェリーから降り、港を散策。

やはりこちら側の港で降りる人は少なかった。

辺りを見渡すとさっそく1匹の猫が…

他の猫と争ったのだろうか?

顔に傷がある。

逃げはしないが近づいても来ない。

まるで興味が無い様子だ。

早くも複雑な気持ちになりながら散策を続ける。

エサやり禁止

大拍港から山道に入ろうとした際

注意書きがあった。

そういえばと思い出し、パンフレットを取り出す

田代島のパンフレットにはこう記載してある

来場者による猫たちへの「エサ」及び「おやつ」を与えること、もちろん「人間の食べ物」を与えることも禁止です。
田代島の猫たちは、お世話して下さる方々からきちんとご飯を頂いております。
食べ過ぎによる体調不良は健康を損ないます。
猫たちが安全に、元気であり続ける為に、ご協力をお願いします。

 

家から持参していたチュールチュールチャムチュールの出番は無いようだ。

この島の至る所に、持ってきた餌を寄付するBOXが設置してある。

餌を持ってきた人はそこに入れると、島の住人が決まった時間に猫に餌をあげてくれるらしい。

猫神社

大拍港を出てジブリの世界観を思わせる坂道をひたすら歩く事約12分。(約800m)

最初の猫に出会ってから1匹も猫に遭遇する事は無かった。

本当に猫島なのか?と思いつつも最初の目的地へ到着。

猫が祀られているという猫神社。

明治以降、漁業が盛んになると、猫は大漁を招く縁起物として大切に扱われるようになる。

だがある日、いかだを作る際に砕いていた岩の破片が猫にぶつかり、死なせてしまったそう。

心を痛めた漁師たちがこの神社を作り猫を祀ったと言われている。

森の中にある神社では、様々な猫の置物や猫じゃらしなどが供えてあった。

早速お賽銭をし、我が家の猫達の健康を祈願。

次の目的地へと向かう。

島のえき

1匹の猫に出会う

島に着いて2匹目の猫だ

私が着いて来ているのを確認するかのように何度も振り返りながら歩いている

私はこの猫について行く事に猫神社から約200メートル進むと「島のえき」が出現する。

猫は島のえきの中に入って行った。

この周辺が縄張りだったのだろう。

ここは小中学校の跡地に作られた施設。

猫グッズやお土産、軽食を販売している。

そしてとにかく猫が多い

どこを見ても猫だらけ

警戒心もまるで無い。

人が近づこうが撫でようが全く気にしていない様子。

中には人間の膝に乗ってくる強者も居た。

ただ目ヤニが酷い猫や、傷のある猫、耳がちぎれている猫が多かった事が気になった。

野良猫だから仕方ないような気もするが…

ここの施設では観光客がエサBOXに入れたエサ1日2与えているそうだ。

そのおかげか痩せている猫はあまり居なく、エサは充分に貰えているようだった。

ある程度、猫達と触れ合い島のえきを後にした。

二斗田港へ向かう…

二斗田港に向かう途中、猫達が茂みからちょこちょこ出てきた。

エサが欲しいのか、しばらく付いてくる猫も

ちょめちゃん
ちょめちゃん

ごめんね、エサ無いんだ…

申し訳ない気持ちで身体を撫でる。

写真では分からないが、相当ノミが付いていた。

長毛の猫なので触るまで気づかなかったが、島のえきに居る猫達に比べるとかなり痩せ気味。

そしてこの猫も耳の先がちぎれていた

野良猫の世界は非常に厳しそうだ。

縄張りがあるのかしばらく歩くと、ピタッと付いてくるのを止め私が歩く姿をじっと眺めていた。

そこから少し歩くと大勢の猫達が…

この群れの猫達は近親で増えたのか、模様や顔が似ている猫達が多かった

子猫の集団も発見

まだ警戒心が強いのか近寄ってくる事は無かった。

二斗田港近辺の集落

二斗田港すぐ近くの集落に居た猫

顔がパンパンに腫れている

そして目ヤニも酷い。

自分のペットだったらすぐさま病院に駆け込むだろう

だがこの島には動物病院が無い

連れて行くにしてもフェリーで石巻まで連れて行くしか方法は無さそうだ。

仮に病院で治療を受けて戻ったとしても

ちょめちゃん
ちょめちゃん

野良猫の世界では「一度群れから離れた猫は他の猫達に受け入れて貰えない」ことがほとんど

と昔読んだ本に書いてあった。

可愛いそうと思うかも知れないが、これが現実。

病気であろうがノミが付いていようが、どうしてやる事も出来ないのだ。

最終地点 ニ斗田港

ニ斗田港で2匹の猫と出会った。

兄弟なのか親子なのか顔も柄も似ていた。

時間なのかタイミングなのか、ここで出会ったのはこの二匹だけだった。

ニ斗田港にはこんな看板も。

やはり観光客はこちら側で降りる事が多いようだ。

フェリーの時間が来たので帰る事に。

大好きな猫達を沢山見れて沢山触れ合える。

そう思いワクワクしながら訪れた田代島。

最初の思いとは裏腹に、

この島の猫達の野生み溢れる目付きや体つき

群れで暮らす姿を見て

野良猫の強さ、生き様を見せつけられたように感じた。

後で調べて分かった事

2ヶ月に1度ボランティアで、獣医師が猫達の診療に来ている。

その獣医師は

  • 細菌感染している猫の治療
  • ノミ、ダニの駆虫薬の投与
  • ワクチンの接種

などをしているとのこと。

島で良く見かけた耳がちぎれている猫は、皮膚ガンになっている猫とのこと。

屋外の環境で自然に発生してしまう病気だが、すぐ死ぬ事はないため治療は行わない

病気が末期状態の猫には決して延命治療を行わない

痛みを和らげる為に麻酔を打ち眠らせる。次の日も起きていれば更に強い麻酔を打って安楽死させる

病気が進行した猫は苦しみながら死んでいく。

その前に眠らせて楽にしてあげるという。

最後に

猫島の猫達の寿命は5年ほど。

産まれても生き残るのは5匹に1匹程度。

ちょめちゃん
ちょめちゃん

なぜ避妊手術をしないのか?

そう言う人もいるだろう。

だが島には今までの歴史や文化があるため、口で言うほどそう簡単にはいかない。

ちょめちゃん
ちょめちゃん

過酷な環境に置かれて可愛いそう

私も最初はそう思った。

だが田代島に行き、猫と触れ合い、猫の生活を見た上で思った事は

避妊手術も、猫を飼う事も、全て人間のエゴであり一切猫の意思では無い

と言う事だ。

確かに田代島の猫達は、家猫とは違い目付きも鋭かった。

清潔感もなく、生きる為に必死なのが痛いほど伝わってきた。

しかし、本来動物はそうゆう生き物なのだ。

本来の生態系に戻っているだけ。

自然の中で生活し、狩りをし、子孫を増やし、それを繰り返す。

当たり前の生活を送っているだけだ。

それを人間がどうこう言う資格が果たしてあるのだろうか。

田代島では、猫が本来あるべき姿を見れたのかも知れない。

東北の猫島「田代島」の基本情報
島名 田代島(たしろじま)
住所 宮城県石巻市田代浜
電話番号 石巻市産業部 観光課:0225-95-1111
営業時間  8:00~17:00
定休日  土日
URL 石巻市産業部 観光課

地図